ターナーレポート2


映画冒頭、オランダの田舎らしき水車のある風景。
そこにオランダの民族衣装で良く見る帽子を被った婦人がふたり。
なにやら楽しそうに談笑しているのだが
誰やら共通知人の男性のうわさ話をしているようだ。
どうもその男、評判が良くない。
気難しい変人?

彼と握手してくれるのはドアノブだけですって!
うっふっふ~。(二人笑い合う)

夕暮れの遠景にスケッチブックを持った不格好な男のシルエット。
一心不乱にスケッチをしているが、それがターナーか?
うむ、この映画一筋縄ではいかないな、という予感・・・

心を落ち着ける(?)ために一枚。
当時は身分の高いパトロンを得てそのお屋敷で創作活動もしていたようです。

レイビー城、ダーリントン伯爵の邸宅 
(1817年)

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ターナーの女性関係にもっとも深い影響を与えたのは彼の母親。
おそらく楽しい家庭生活はなかったと思う。
母メアリーは怒りはじめると制御できないほどの荒れ様で
週に3~4日は怒り狂って大声で夫を口汚く罵り、
その度に彼は耳をふさいで近所の家に逃げたと言う。
母親は娘を5歳で亡くした痛みもあったのだろうが
結局は精神病院で亡くなった。

このことはターナーは多くを人に語らず
結果彼の秘密主義の根本だったとも思われる。
母=女性が心休まる存在でなかったことは容易に想像できます。

ターナーの最初の恋人、
若くして最初の夫を亡くしているサラ・ダンビー。
彼女は友人の未亡人で10歳年上、
最初は父もまじえて一緒に暮らしたようだが
娘を二人もうけたものの認知はせず正式な婚姻関係ではなかった。

映画ではさんざん彼女に責められてますね。

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女性ではないがヴィクトリア時代を代表する評論家、
ジョン・ラスキンにはずいぶん崇拝されている。


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出会ったのはラスキンが21歳、
ターナーはすでに65歳だった。
ま、詩人をめざしていたというこのラスキンという青年も
ちょっとした変わり者?

途中すっとばして、
港町の宿屋の女主人だった25歳年下のブース夫人と懇意になり
チェルシーのテムズ川沿いにアトリエ兼隠れ家を持ち
夫婦同然に暮らした最晩年は人間的には一番幸福だったかもしれない。

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彼女はあたたかく彼を支えてくれる信頼できる女性だったが
絵の方向性は次第に曖昧になり
画家としては酷評され冷遇される事が多くなった。
体調を崩した1851年12月、とうとう彼はこの世を去る。
死の間際に
太陽は神だとつぶやいた言われるが真偽のほどは?

もうひとり、
彼のそばで40年に渡って家政婦を務めた女性がいる。
いろいろな意味で忠実なメイド。
前述サラ・ダンビーの義理の姪であるハンナ・ダンビーだが
この人が本当は一番ターナーを理解していたのではないかと思う。

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彼女は乾癬(皮膚病)を患っていて
最初は首の後ろだけだったのが
終盤では顔中、そして手も布でぐるぐる巻きで
愛するご主人さまが別の女性とこっそり暮らしている事実を知り
失意のどん底に陥る。
それを知るきっかけが可愛い子猫(=キティ)のせいだったなんてね。
ああ、気の毒。

彼の絵を一番そばで見て来て
それこそ彼の中にずっと光を求めていたでしょうにね。

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集中して映画を観るのは疲れる。
しかし面白い。
そして芸術は難解だが心を揺すぶらされるものがたくさんある。
したがって道楽はなかなか止まず、、、

困っターナー。













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Commented by fanny at 2015-06-27 09:30 x
主演のティモシー・スポール、カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞。
あまりにもぶちゃいく・・・うなされそうな存在感・・・あ~
次回の映画はうなされないようにイケメン路線まっしぐら!
Commented by okira935 at 2015-06-28 18:53 x
fannyさん、
たしかに存在感ありすぎたよね、彼。
本人の写真を見たら普通のおっちゃんだったけど
役者はすごい、えらい!

次はイケメンで癒されましょう。
よろしく。
Commented by meien at 2015-06-29 23:27 x
ハンナの忠実さ健気なさがもうね…
最後の主(ターナー)が居なくなった家で一人で涙ぐんでるようなシーンが切なすぎる。

40年以上も家政婦としても支えたりしてきて、ターナーの死後2年程で亡くなったそうな。ハンナの人生はターナーそのもの
ターナーの自画像は見たことあるけど、ハンナの肖像画やスケッチは無いのだろうかと、ふと思った。
中盤あたりからハンナが居た堪れないというか不憫で気掛りになってしまった。

個人的に、映画の主人公は「ハンナ・ダンビー」になってしまった。
パンフレット買ったけど、20ページのターナーの年譜にハンナの名前が無いのが軽く鬱
Commented by okira935 at 2015-07-01 15:35
meienさん、
終盤でハンナがチェルシーの家を探り当てた後、
ターナーが川で上がった水死体を見に行くシーンで
もしかしたらハンナが・・と私はつい思ってしまいました。

お父さんと一緒に台所で「ハンサムな豚」を調理する場面は
何だか微笑ましかったです。
by okira935 | 2015-06-26 19:19 | 旅のいろいろ | Comments(4)